ドイツワイン事典・Mobile版

ドイツワイン事典は・・・ (Outline)

旧東ドイツの2つの産地を加え、13のワイン産地を、地図・画像を添えて解説している。
又、ドイツワインの基礎情報(品種、種類・格付け、ラベル、Vintage等)を<Introduction>で付け加えた。

ドイツワインを特徴付ける情報は載せたつもり。ワインには産地の文化が色濃く反映しているので、それへのエピソードも付け加えた。

ドイツワイン地図  


◆ ワイン事典シリーズ (Mobile版)

ドイツワイン事典-Introduction(ドイツワイン理解のための基本情報)
Introduction

ドイツワイン産地の特徴 (Outline)

一般的に、ぶどうの栽培は、北緯45度が限界とされているが、ドイツのワイン産地は北緯50度付近に集中している。これはアジアでみれば樺太と同じ北緯に当たる。
世界でも最も北にある栽培地であることが、ドイツワインの性格を決定づけている。

この高緯度にもかかわらずぶどう栽培が可能なのは、暖流などによる比較的温暖な気候のお陰である。
とは言え、最高気温が20度を上回ることはめったにない冷涼な気候であることには変わりない。
太陽を充分に得られる国々に比べ、不利とも思える気候だが、それがかえって、ぶどうの熟成や果実酸の分解がゆっくりと時間をかけて進んでいくことになり、他には類をみない、さわやかな酸味と繊細な芳香に恵まれたアルコール度の低いワインが生み出される。

ドイツワインと言えば、白ワインと言っても言い過ぎではないが、近年赤ワインの生産が増えている。かっては10%程度だったものが30%にもなっている。しかし殆どが国内で消費され、日本では稀であるし、フランスやイタリアの赤に比類するものはないと言える。

産地は13の地域に分けられ、それぞれ、地域特有の性格を持っている。その殆どが、ライン河の本流とその支流沿岸にある。

その13の栽培地域は、39のベライヒ(地区)に分かれ、各地区の畑は152のグロースラーゲ(総合畑)と、2,632のアインツェルラーゲ(単一畑)に細分化されている。
<畑>は、法的にも認定されている栽培地の単位で、それぞれ名前が付いている。出来るワインの性格や味香は個性的であるが、畑の<格付け>については、フランスのように公的にはなされていない。
しかし、著名な畑は、銘柄名として大きくラベルに記載さているものもあるので、当Webでは生産地区それぞれに、著名村・畑をピックアップした。

ドイツワイン地図

ドイツワイン事典-ドイツワインの品質等級
ドイツワインの品質等級
   
ドイツワイン品質等級図解

ドイツでは、フランスと違い、畑には等級が付いていない。ブドウの完熟度合でワインの種類が決まる。

大きく4段階に分けられるが、P.m.Qは更に6種にクラス分けされている。

Q.m.P (生産地限定格付け上質ワイン)

Q.m.P -Quäitatswein mit Präikat-
(クヴァリテーツヴァイン・ミット・プレディカート)

通常は「Pradikatswein(プレディカーツヴァイン)ないし「Q.m.P」と略して言う。最高クラスのワインカテゴリー。

ブドウ収穫時の最低糖度などで、
Q.b.A」より厳しい条件の公的な検査に合格したワインで、「補糖」は禁止されている。
13のワイン生産地域の中で区分さている地区(ベライヒ-Bereich)で収穫されたブドウのみで造られ、他の地区(ベライヒ)のワインとのブレンドは認められない。

ブドウ の糖度・収穫方法によって6つに分類されている。

*<公的な検査>・・・最低糖度、視覚・嗅覚・味覚検査等、品種によってそれぞれの生産地域で個別に規定されている。

この「P.m.Q」は、更に下記の6種にクラス分けされている。

Kabinett (カビネット)

「Q.m.P」の中では、最も糖度の低いもの。
シュペトレーゼ以上のものの持つ厚みには少し欠けるが、エレガントで繊細な味わいは他に類を見ない。

辛口(トロッケン)ないし中辛口(ハルプトロッケン)に仕立てられる。

Spätlese (シュペートレーゼ)

この言葉は「遅摘み」を意味する。

通常の収穫時期よりも遅い時点で収穫された完熟ブドウを使用。
従って、 糖度やエクストラクト分が増え、奥行きが深まり、しっかりした味わいのワインになる。

Auslese (アウスレーゼ)

完熟した房を選んで摘み取り造られたワイン。
従って、収穫量は大幅に落ちる。シュペトレーゼより更に凝縮された味わいを持つ。

Beerenauslese (ベーレンアウスレーゼ)

主に貴腐ブドウの粒を選び取り仕込まれた、フルーティーで味わい豊かなワイン。

大きい労働の手間と収穫リスクを伴うから高価。諸要素が凝縮されているから、かっては薬として飲まれた。

Eiswein (アイスヴァイン)

ブドウは凍った状態(マイナス8度)で収穫され、プレスされる。
そうすることによって、ブドウの果汁は自然に濃縮され、アイスヴァイン独特の非常にフルーティーな酸味と甘味が際立った味わいが生まれる。

Trockenbeerenauslese (トロツケンベーレンアウスレーゼ)

このワインは、ドイツの最高級ワインで、過熱したブドウに貴腐菌がつき、水分が蒸発して干しブドウ状態になった粒を選りすぐって収穫する。
ハチミツのように密度が高く、アペリティフもしくはデザートワインとして最適のもの。

Q.b.A (生産地限定上質ワイン)

Q.b.A -Quäitatswein bestimmter Aubaugebiete-
(クヴァリテーツヴァイン・ベシュティムター・アンバウゲビーテ)

通常は「Quäitatswein(クヴァリテーツヴァイン)」ないし「Q.b.A」と略して言う。

13のワイン生産地域のいずれかの1地域で収穫されたブドウのみで造られ、公的な検査に合格したワイン。
ブドウ品種や最低糖度が13の地域それぞれで規定されている。また、別のワイン生産地域のワインとのブレンドは認められない。
トイツで生産されるワインの多くは、この「Q.b.A」と「Q.m.P」のカテゴリーのもの。

Classic & Selection

2000年から、この「Q.b.A」の中に、Classic〈 クラシック 〉 Selection〈 セレク ション 〉という辛口ワインのカテゴリーが新しく設けられた。

Selection〈 セレク ション 〉は クラシックより上級で、品種、収穫量、糖度(アウスレーゼ相当〉等、より厳しい規定がある。
通常ラベルには「畑名」が記されている。

Deutscher Landwein (ランドヴァイン=地酒)

ターフェルヴァインより個性的で、且つ地方的特色を持ったワイン。
19の生産地域が「ランドワイン地域」として指定されている。

Tafelwein (ターフェルヴァイン=テーブルワイン)

ドイツ国内で生産収穫されたブドウを原料としたワイン。
通常「ドイチャー・ターフェルヴァイン」と呼ばれる日常消費用ワイン。
ドイツワイン事典-ドイツワイン用語
ドイツワイン用語
ラベルを読むための「ドイツワイン用語

地域
(Anbaugebiete-アンバウゲビート)

ドイツにある13のワイン産地を指す。

この「地域」は、地理的・気象的条件の相違によって分けられたもので、一番大きなワイン産地の単位である。

地区 (Bereich-ベライヒ)

「地域」はさらに複数の「Bereich (ベライヒ)地区」に区分されていて、できるワインの性格やタイプは似ている。
「地区 (ベライヒ)」には複数の市町村が含まれる。全ドイツでは41の地区がある。

それぞれの「地区 (ベライヒ)」には、通常、複数(ひとつの場合もある)の総合畑=Groslage(グロースラーゲ)が含まれ、各総合畑は,さらに下位の単位である複数の単一畑=Einzellage(アインツェルラーゲ)に分けられている。

ベライヒの中心から外れた末端の畑のワインでもベライヒ名を名乗ることができる。

中部モーゼルの<ベルンカステル>などにその例が見られるが、ベライヒ名だけで販売されるワインの多くは、並みクラス以上のものではない。
ヒュー・ジョンソンは「ポケット・ワイン・ブック」で、「ラベルにBereichとあれば、赤信号が点滅していると受けとめるべし」と記しているくらいである。総てとは言えないまでも心得ておいていいことであろう。

総合畑 (Groslage -グロースラーゲ)

同傾向のワインを産する複数の単一畑を総合したものが、総合畑である。

例えばベライヒ・ベルンカステルの、総合畑<Badstube(バートストウーベ)>は、
•Lay (ライ)
•Matheisbild-chen (マタイスビルトヒェン)
•Bratenhofchen (ブラーテンヘーフヒェン)
•Graben (グラーペン)
•Doctor (ドクトール)
•AlteBadstube am Doctorberg (アルテ・パートストウーベ・アム・ドクトールベルク)
の6つの単一畑を含んでいる。

総合畑名は、同タイプのワインを大量に供給することを可能にしている。
総合畑名の使用イコール低品質というわけではないが、最上級ワインは単一畑名で販売されるのが普通である。

単独畑 (Einzellage-アインツェルラーゲ)

ワイン法で定められた<同一傾向のワインを産する最小の"畑”のまとまり>である。
公的に登録され、その境界は正確に定められている。
上質ワイン(Q.b.A.とQ.m.P.)だけが単独畑名を名乗ることができる。

より広範囲にわたって収穫されたブドウのブレンド(例えば地区ものや地域もの)よりも、小範囲の収穫ブドウで造ったワインの方が、一般的に、より個性的で評価も高い。

単独畑の中には,自然的条件とワイン生産者の技術とが相まって、公的ではないが、一級畑として評価されているものもある(ベルンカステルのドクトールなど)。
しかし、単独畑と言っても、ピンからキリまであり、法定内の最低品質をやっと保っているような雑畑も数多くあることも忘れてはならない。

* 単独畑、総合畑とも、その名称が、その畑からの収穫ブドウで造られたワインの銘柄名になっていて、ラベルには、畑名だけでなく。町村名をも併記することになっている。
その場合、町村名の後には<er>が付いている。
(例えば、BernkastelのDoctorの場合は、<Bernkasteler Doctor>とラベルには表記されている。

* 消費者にとって,2,600以上にも及ぶ単独畑名や150以上の総合畑名を知り記憶することは殆ど不可能。
従って、ラベル上に記された畑名がどこのものか判断することは非常に難しい。あの女流ワイン評論家のジャンシス・ロビンソンですら、その著書で「筆者のように専門家とされる者でも頭が痛くなる」と言っている。
消費者は畑名より生産者名に留意する方が賢明であろうと思われる。

lage(ラーゲ)と言う”語” について

Einzellage(アインツェルラーゲ)とGroslage(グロースラーゲ)lage(ラーゲ)と言う言葉について、 「ポケット・ブック ドイツワイン」の訳者江戸西音氏はその<訳者まえがき>で解説している。

『Lage(ラーゲ)は、位置とか状態を意味することばで、葡萄畑としての意味は普通の辞書には見あたりません。
おそらく、 葡萄畑としては畑がどのような位置・状態にあるか(南に向いているとか,斜面であるとか)が極めて重要なため、「ある位置や状態に存在するもの(畑)」という意味で、「畑」という語なしに使われているものと思われます。
従ってラーゲは葡萄畑、更にワインでは葡萄の畑に決まっていることを考慮すれば,「ラーゲ=畑」ということができます。』

*畑の気候は、その立地条件により微妙な違いがある。
最も重要と言えるのは、日光が畑に差す角度。これは斜面の角度や方向に左右される。その他にも畑周辺に連なる丘がある場合や、傾斜畑の上方に森がある場合は、畑に吹き抜けるはずの冷たい風が遮られる。
このような畑やその周辺の地形は、ブドウ栽培に非常に大切な要素である。

Weingut (ヴァイングート)

一般的に、Weingut (ヴァイングート)は、自己の畑で栽培した葡萄を原料として自家醸造を行う所。
つまり、葡萄の栽培からその搾汁の醸造までをワイン生産と考え、これを行う所であるヴァイングートは「ワイン生産所」である。

これに対して、 Weinkellerei (ヴァインケラーライ)は、原料葡萄を購入して醸造を行う所。つまり、もっばら醸造を行う所、「ワイン醸造所」である。

Winzer (ヴインツアー)は、葡萄の栽培を行う者を意味するもの、「葡萄栽培者」。

Sekt 〈ゼクト〉

Sekt〈ゼクト〉はドイツで造られる発泡性ワインを言う。
原料となる葡萄及び原酒はドイツ産とは限らない。 アルコール度数は10度以上、二次発酵による炭酸ガスでなければならず、瓶内発酵の場合は最低9ヶ月、タンク内発酵の場合は最低6ヶ月の熟成期間が必要で、3.5気圧以上の炭酸ガスを含有することが規定されている。

上級酒には、<Deutscher Sekt> 又は、<Sekt b.A>の表示があり、原料となる葡萄が<13の指定栽培地=Anbaugebiet>で収穫された葡萄に限られる。


ドイツワイン事典
ラベルの読み方
ドイツワインは、一般的に分かり難いと言われる。ワイン名が生産者名であったり、生産地(畑名や村名)であったりしていて、その数が恐ろしく多いから、専門家でも悩ましいと言う。
畑も総合畑と単一畑があり、加えて、用語が単純でないから拍車をかけている。
しかし、用語を理解すれば、かなりのことが読み取れる。

*用語を下記の別ページまとめてあるので参照して下さい。

ドイツワイン用語


ワイン名が生産者のラベル

ラベルの生産者の分類


ワイン名が生産地・畑のラベル

ドイツワイン事典-VintageChart
VintageChart
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ドイツワインVintageChart
ドイツワイン事典-ドイツワイン品種
品 種
ドイツの葡萄栽培面積は約10万ha、年間生産量が1,026万hl。
ヨーロッパの他の主要ワイン生産国と比較すると多くは無い。

ドイツワインと言えば、白ワインと思われているが、近年、赤ワインの生産が大幅に増えいる。 1980年頃10%程度だった赤ワインの生産量は、今や約30%にもなっている。

 ◆ 白ワイン品種

Riesling  (リースリング)

Riesling 今も昔も、ドイツワインを代表する品種。その由来は明確ではない。 確かなのは、ドイツの農家はリースリング作りに少なくとも数百年間は専念してきたという事実。

リースリングについての記述が書物に登場するのは1430年。以来ドイツの農家の人々は、この品種を大切にし、さらに素晴らしい品種へと育てあげた。
リースリングの長い伝統は、ラインガウ地域とモーゼル地域にあるが、現在では、ドイツの全ての生産地域で栽培されている。大きな栽培面積の割合を占めているのはラインガウでで、ブドウ畑の4分の3以上。

成熟速度の遅い晩熟タイプの品種なので、北の地域では、秋の太陽光が最終成熟に最大限活用される。そのため、太陽熱を蓄積することができる石の多い土壌の、川沿いの急斜面の畑が選ばれる。典型的なエレガントでフルーティーなリースリングを育てるためには、スレート状の土壌が理想的。

リースリングワインは、淡い黄色から緑色がかった黄色の色合いを持ち、ほのかな桃やリンゴの香り、キリッと引き縮まった酸味が特徴で、繊細で長寿。様々なタイプのワインが作られが、産地の違いによる差が明確に出る品種でもある。

Sylvaner  (シルヴァーナー)

Sylvaner かって、1960年代まで、ドイツで最も多く栽培されていた品種であったが、現在は、ミュラー・トルガウ、リースリングに次いで3番目に位置する。ドイツ白ワインを特長付ける代表品種の一つである。

原産地はトランシルヴァニア(ルーマニア)地方とする意見が多いが、正確なことはわからない。周辺各地から様々な品種が移入してきた中世(16~17世紀)に、東ヨーロッパからオーストリアを経由して入ってきたことは確かである。

リースリングより早熟で、収穫量も多い。出来るワインは、一般的にニュートラルな味香を持ち、酸味も香りも穏やかだが、畑や土壌の影響を受けやすい品種でもある。
フランケンの石灰岩土壌では、力強い堂々たる風格のワインを生み、フランケンを代表するワインヲ造る。
ラインヘッセンのラインフロントの黄土層土壌では、優雅でフルーティーなボディーのあるワインが造られている。

Müller-Thurgau  (ミュラー・トルガウ)

Rivaner 別名 Rivaner(リヴァーナー)
シルヴァーナーがリースルングを補正するブレンド用として沢山使われていた19世紀末、ブレンドの代わりにむしろ両種交配すればと思い人工交配により造り出された品種。
その生みの親・ミュラー・トルガウ(Mtiller-Thurgau)教授の名前が、この品種の名前でもある。

ミュラー・トルガウは、畑・土質の適用範囲が広く、その上早熟で収穫量も多く経済性の高い品種である。そのため、現在全耕地の3分の1を占め、ドイツワインでの生産量は第1位。リースリング,シルヴァーナーと共にドイツの3大品種である。

ドイツの気象条件の下で優れたその体質を発揮し、ドイツの品種改良の歴史の中で最も古く、また最も大きな成功を収めている品種と言える。

出来るワインは、気軽に飲め、バランスのとれた味わいを持ち、誰からも受け入れられやすい。ラベルの品種表示で「Rivaner」の名前が使用されているワインの殆どは、フレッシュでライトな辛口のワインである。

Gewürztraminer  (ゲヴュルツトラミーナー)

Gewürztraminer 写真で見る通り赤ワイン用品種のような色をしている。果皮の色素が黄金の色合いを与えるため、やや濃い色合いとなることが特徴。

「香辛料」を意味するこの品種は、ライチ、紫檀、エダウチヤシや柑橘類を思わせる複雑なアロマがあり、豊かで、非常に力強い味わいを生み出す。
貴腐が繁殖した場合には、ハチミツ、干しアプリコット、バラの花びらで作られたジャムのようなアロマがあふれ出る。この甘口は長期熟成にも耐える。

ドイツで栽培されているブドウ品種の中でも、最も古い品種の一つ。 主に、ファルツやバーデン、ラインヘッセン、ザクセンで栽培されている。

Ruländer (ルーレンダー)

Pino Gris 別名 Grauer Burgunder (グラウアー・ブルグンダー)
フランス名:Pino Gris

ルーレンダー〈Rulander〉は、ドイツでは特にバーデンのカイザーシュトウール地区周辺で、その栽培に力が注がれてきたが、現在、ドイツの13のワイン生産地域のうち、9生産地域で伝統的なブドウ品種として栽培されている。

出来るワインは、特有の香りを持ち、黄金色を帯びる。アルコール分が高く、エクストラクトの多い厚みのあるボディーが特徴。

ラベルの品種表示で「Grauer Burgunder」と表示されているワインの殆どは辛口ワイン。一方、「Ruländer」と表示されているワインの多くは甘口ワイン。

名前の由来は、18世紀、ファルツのシュパイヤー村(Speyer)のワイン商人・ヨハン・ゼーガー・ルーラント(Johann Seger Ruland)がフランス軍によって破壊された土地を買った。
そこにはフランスの様々な品種のブドウが植えられていたが、荒れ放題になっていた。ルーラントは手を入れ、整備した。そしてそこで造ったワインの一つがすばらしく旨く、村の名物になった。
次第にシュパイヤー村以外にも知れ渡り、人々はそのブドウをルーラントのブドウ、つまりルランダーと呼ぶようになった。

Weissburgunder (ヴァイスブルグンダー)

Pinot Blank ドイツ以外の国では、「Pinot Blank--ピノ・ブラン」として広く知られている。
エレガントな味わいを持つ品種で、柔らかな芳香とナッツ類の香ばしいアロマが特徴。優秀な畑では、ニュートラルな良質な辛口ワインが造られ、その人気は高い。

主に、バーデンやフアルツで栽培されているが、ドイツでの栽培は、年々増加の傾向にあり、ラインヘツセンではその傾向が顕著に見られる。

Kerner (ケルナー)

 Kerner 高貴な品種の掛け合わせ、トロリンガーとリースリングを交配させて生まれた品種。1929年にワインスベルグで生まれ、その名はヴュルテンベルクの詩人ユスティヌス・ケルナー(Justinus Kerner 1786~1862)にちなんで付けられた。

ケルナーはファルツで、長い間栽培されてきたが、近年ではラインヘツセンやモーゼル、そしてヴユルテンベルクでも多く栽培されている。新品種では最も好んで栽培されている品種である。

ワインは、フルーティーで、繊細なアロマを持ち、酸味が確りしている。カビネットからトロッケンベーレンアウスレーゼまで造られるが、その多くはシュペートレーゼクラス。

Scheurebe (ショイレーベ)

Scheurebe この品種は、アルツァイ市(ラインヘッセン)のブドウ栽培醸造研究所を設立した高名なゲオルグ・ショイ(Georg Scheu)が、1916年、シルヴァーナーとリースリングを交配させて誕生したもので、彼の名にちなんでショイレーベと名づけられた。

際立った酸とアロマを持つこの品種は、主にラインヘッセン、ファルツ、ナーエで栽培されている。多くは、<Q.m.P>クラスのベーレンアウスレーゼに仕上げられ、カシスなどの豊な香りを持つ。中には辛口、中辛口も造られるが、そのワインはスパイシーで香り高い。

 ◆ 赤ワイン品種

Spätburgunder (シュペートブルグンダー)

シュペートブルグンダーは、ドイツの赤ワインの代表品種である。フランスでは「ピノ・ノワール」と呼ばれ、フランス・ブルゴーニュ地方に由来する。

ドイツでもすでに千年以上前から栽培が行われており、ドイツの伝統的な赤ワイン品種と言える。主に、バーデンの、特にカイザーシュトゥール地区とトゥーニベルク地区で栽培され、その他フアルツ、ラインヘツセン、ヴュルテンベルク、ラインガウ、アールでも栽培されている。

シュペートブルグンダーがよく育つ土壌は限られており、ブドウ農家は最も良い畑をこの品種に充てている。
出来るワインは、味わいが豊かで、口当たりが柔らか、甘味を感じさせる赤い果実の芳香を持ち、ボディーも豊か。シュペートブルグンダーからはロゼワイン、ヴァイスヘルプストも作られる。

Portugieser  (ボルトギーザー)

Portugieser ボルトギーザーの起源はオーストリアやハンガリー方面と言われている。
この品種は、主に、ファルツとラインヘツセンで栽培されている。

出来るワインは、他の品種に比べ、ややアルコール度数が控えめでライト、口当たりがよく飲みやすい。また爽やかな酸味を持ち、カシスやコケモモ、イチゴや木苺の上品な香りが感じられる。
夏の喉を潤すサマーワインとして楽しまれているヴァイスヘルプストを造る際に好んで用いられている。

Trollinger  (トロリンガー)

Trollinger トロリンガーはチロル地方が原産地。
16世紀中頃、ドイツに持ち込まれた。ドイツでの栽培は、ヴュルテンベルクに集中している。

この品種は、収穫量は多いが、他の品種に比べて、ブドウの成長と成熟に時間が掛かる。
しかし、早く飲める。つまり出来るワインは若飲みタイプ。フレッシュで味がしっかりしていて飲みやすい。軽口でキレのある独特の風味が、地元の人々に非常に親しまれている。シラーワインの原料。


ドイツワイン事典
歴 史
ドイツワインの歴史